後遺障害等級ごとの労働能力喪失率・慰謝料の一覧表
後遺障害事故においては,後遺障害等級が損害賠償の算定の最も重要な基準となってきます。ここでは,後遺障害等級に関する労働能力喪失率および慰謝料金額を一覧表としましたので,ご参考にしてみてください。
後遺障害等級
後遺障害事故における損害賠償請求においては,自賠責保険の後遺障害等級が非常に重要な意味を持っています。
後遺障害等級は,自賠責保険からの損害賠償金の支払いにおける基準となるものですが,任意保険に対する請求の場合や訴訟での請求の場合でも,損害保険料率算出機構が認定した等級が尊重され,それを基準として損害賠償金額が算定されることが多いからです。
この後遺障害等級は,交通事故によって被った後遺障害の症状・程度によって区分されています。具体的には,自動車損害賠償保障法施行令別表第一および第二に,等級ごとの後遺障害の内容と自賠責保険における損害賠償金額の上限が定められています。
また,後遺障害等級は,逸失利益の算定における労働能力喪失率の割合,慰謝料の金額の基準ともなっていますが,それらについては,「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」(以下「支払基準」といいます。)に定められています。
→ 詳しくは,後遺障害等級とは?
後遺障害ごとの保険金額・労働能力喪失率・慰謝料の一覧表
以下の一覧表は,平成22年6月10日以降に発生した交通事故に適用される後遺障害ごとの自賠責保険における損害賠償・保険金額の上限,労働能力喪失率,慰謝料の金額をまとめた一覧表です(前記自賠法施行令各別表ならびに支払基準の労働能力喪失率表表および別表をまとめたものです。)。
別表第一の後遺障害
等級 | 後遺障害 | 保険金額上限 | 労働能力喪失率 | 慰謝料 |
---|---|---|---|---|
第1級 | 1 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,常に介護を要するもの 2 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,常に介護を要するもの |
4000万円 | 100% | 1600万円 |
第2級 | 1 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,随時介護を要するもの 2 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,随時介護を要するもの |
3000万円 | 100% | 1163万円 |
- 備考:各等級の後遺障害に該当しない後遺障害であつて,各等級の後遺障害に相当するものは,当該等級の後遺障害とする。
別表第二の後遺障害
等級 | 後遺障害 | 保険金額上限 | 労働能力喪失率 | 慰謝料 |
---|---|---|---|---|
第1級 | 1 両眼が失明したもの 2 咀嚼及び言語の機能を廃したもの 3 両上肢をひじ関節以上で失ったもの 4 両上肢の用を全廃したもの 5 両下肢をひざ関節以上失ったもの 6 両下肢の用を全廃したもの |
3000万円 | 100% | 1100万円 |
第2級 | 1 1眼が失明し,他眼の視力が0.02以下になったもの 2 両眼の視力が0.02以下になったもの 3 両上肢を手関節以上で失ったもの 4 両下肢を足関節以上で失ったもの |
2590万円 | 100% | 958万円 |
第3級 | 1 1眼が失明し,他眼の視力が0.06以下になったもの 2 咀嚼又は言語の機能を廃したもの 3 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,終身労務に服することができないもの 4 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,終身労務に服することができないもの 5 両手の手指の全部を失つたもの |
2219万円 | 100% | 829万円 |
第4級 | 1 両眼の視力が0.06以下になったもの 2 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの 3 両耳の聴力を全く失ったもの 4 1上肢をひじ関節以上で失ったもの 5 1下肢をひざ関節以上で失ったもの 6 両手の手指の全部の用を廃したもの 7 両足をリスフラン関節以上で失ったもの |
1889万円 | 92% | 712万円 |
第5級 | 1 1眼が失明し,他眼の視力が0.1以下になったもの 2 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 3 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 4 1上肢を手関節以上で失ったもの 5 1下肢を足関節以上で失ったもの 6 1上肢の用を全廃したもの 7 1下肢の用を全廃したもの 8 両足の足指の全部を失ったもの |
1574万円 | 79% | 599万円 |
第6級 | 1 両眼の視力が0.1以下になったもの 2 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの 3 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの 4 1耳の聴力を全く失い,他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの 5 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの 6 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの 7 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの 8 1手の5の手指又は親指を含み4の手指を失ったもの |
1296万円 | 67% | 498万円 |
第7級 | 1 1眼が失明し,他眼の視力が0.6以下になったもの 2 両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの 3 1耳の聴力を全く失い,他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの 4 神経系統の機能又は精神に障害を残し,軽易な労務以外の労務に服することができないもの 5 胸腹部臓器の機能に障害を残し,軽易な労務以外の労務に服することができないもの 6 1手の親指を含み3の手指を失ったもの又はおや指以外の4の手指を失ったもの 7 1手の5の手指又は親指を含み4の手指の用を廃したもの 8 1足をリスフラン関節以上で失ったもの 9 1上肢に偽関節を残し,著しい運動障害を残すもの 10 1下肢に偽関節を残し,著しい運動障害を残すもの 11 両足の足指の全部の用を廃したもの 12 外貌に著しい醜状を残すもの 13 両側の睾丸を失つたもの |
1051万円 | 56% | 409万円 |
第8級 | 1 1眼が失明し,又は1眼の視力が0.02以下になつたもの 2 脊柱に運動障害を残すもの 3 1手の親指を含み2の手指を失ったもの又は親指以外の3の手指を失ったもの 4 1手の親指を含み3の手指の用を廃したもの又は親指以外の4の手指の用を廃したもの 5 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの 6 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの 7 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの 8 1上肢に偽関節を残すもの 9 1下肢に偽関節を残すもの 10 1足の足指の全部を失ったもの |
819万円 | 45% | 324万円 |
第9級 | 1 両眼の視力が0.6以下になったもの 2 1眼の視力が0.06以下になったもの 3 両眼に半盲症,視野狭窄又は視野変状を残すもの 4 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの 5 鼻を欠損し,その機能に著しい障害を残すもの 6 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの 7 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの 8 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり,他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの 9 1耳の聴力を全く失ったもの 10 神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 11 胸腹部臓器の機能に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 12 1手の親指又は親指以外の2の手指を失ったもの 13 1手の親指を含み2の手指の用を廃したもの又は親指以外の3の手指の用を廃したもの 14 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの 15 1足の足指の全部の用を廃したもの 16 外貌に相当程度の醜状を残すもの(平成22年6月10日以降の事故に限る。) 17 生殖器に著しい障害を残すもの |
616万円 | 35% | 245万円 |
第10級 | 1 1眼の視力が0.1以下になったもの 2 正面を見た場合に複視の症状を残すもの 3 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの 4 14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 5 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの 6 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの 7 1手の親指又は親指以外の2の手指の用を廃したもの 8 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの 9 1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの 10 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの 11 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
461万円 | 27% | 187万円 |
第11級 | 1 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの 2 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの 3 1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの 4 10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 5 両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの 6 1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの 7 脊柱に変形を残すもの 8 1手の人差し指,中指又は薬指を失ったもの 9 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの 10 胸腹部臓器の機能に障害を残し,労務の遂行に相当な程度の支障があるもの |
331万円 | 20% | 135万円 |
第12級 | 1 1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの 2 1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの 3 7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 4 1耳の耳殻の大部分を欠損したもの 5 鎖骨,胸骨,肋骨,肩甲骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの 6 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの 7 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの 8 長管骨に変形を残すもの 9 1手の小指を失ったもの 10 1手の人差し指,中指又は薬指の用を廃したもの 11 1足の第2の足指を失ったもの,第2の足指を含み2の足指を失つたもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの 12 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの 13 局部に頑固な神経症状を残すもの 14 外貌に醜状を残すもの |
224万円 | 14% | 93万円 |
第13級 | 1 1眼の視力が0.6以下になったもの 2 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの 3 1眼に半盲症,視野狭窄又は視野変状を残すもの 4 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの 5 5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 6 1手の小指の用を廃したもの 7 1手の親指の指骨の一部を失つたもの 8 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの 9 1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの 10 1足の第2の足指の用を廃したもの,第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの 11 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの |
139万円 | 9% | 57万円 |
第14級 | 1 1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの 2 3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 3 1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの 4 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの 5 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの 6 1手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの 7 1手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの 8 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの 9 局部に神経症状を残すもの |
75万円 | 5% | 32万円 |
- 視力の測定は,万国式試視力表による。屈折異状のあるものについては,矯正視力について測定する。
- 手指を失ったものとは,親指は指節間関節,その他の手指は近位指節間関節以上を失ったものをいう。
- 手指の用を廃したものとは,手指の末節骨の半分以上を失い,又は中手指節関節若しくは近位指節間関節(親指にあつては,指節間関節)に著しい運動障害を残すものをいう。
- 足指を失ったものとは,その全部を失ったものをいう。
- 足指の用を廃したものとは,第1の足指は末節骨の半分以上,その他の足指は遠位指節間関節以上を失つたもの又は中足指節関節若しくは近位指節間関節(第1の足指にあつては,指節間関節)に著しい運動障害を残すものをいう。
- 各等級の後遺障害に該当しない後遺障害であって,各等級の後遺障害に相当するものは,当該等級の後遺障害とする。