死亡逸失利益

死亡事故における逸失利益算定のための稼働可能期間

交通事故によって死亡した場合逸失利益」の賠償を請求することができますが,この死亡事故における逸失履歴の金額を算定するに際しては,その稼働可能期間をいかに考えるかということが問題となる場合があります。ここでは,この死亡事故における逸失利益の算定における稼働可能期間の問題について,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。

死亡事故における逸失利益

交通事故によって死亡したという場合,被害者の方はすべてを失うのですから,その被害は甚大です。

そのため,被害者の方(実際には相続人の方)は,加害者等に対して,交通事故によって死亡しなければ得られたはずの利益を損害として賠償を請求できます。これを「逸失利益」といいます。

死亡事故における逸失利益(死亡逸失利益)は,交通事故によって,得られるはずであった収入を得られなくなったという意味での損害ですから,いわゆる「消極損害」に当たる損害類型です。

死亡逸失利益は,以下の計算方法によって算出します。

  • 死亡逸失利益 = 1年当たりの基礎収入 × (1-生活費控除率) × 稼働可能期間に対応するライプニッツ係数(またはホフマン係数)

被害者の方はすでに亡くなっているのですから,死亡後にどのくらいの期間,労働など収入を得るために働くことができたのか(稼働可能期間)ということは,実際には分かりません。そのため,この稼働可能期間はあくまで推測ということになってきます。

そのため,死亡逸失利益を算定においては,被害者が亡くなられた後,どのくらい収入を得るために稼働することができたのか,すなわち稼働可能期間をどのように考えるべきかということが問題となってきます。

>> 死亡逸失利益の計算方法

稼働可能期間の始期

稼働可能期間をどのように考えるべきかについては,まず,稼働可能期間がどの時点から開始されるのかということが問題となります。すなわち,稼働可能期間の始期をいつとするのかという問題です。

死亡時点において,被害者の方が,すでに就業し稼働していたのであれば,稼働可能期間の始期は,死亡した時点ということになります。

問題となるのは,死亡の時点ではまだ就業していなかった場合に,稼働可能期間の始期をどの時点と考えるべきかということです。

この点,まだ就労年齢に達していないような幼児・児童・生徒・学生の場合には,稼働可能期間の始期は,18歳からと考えるのが一般的です。ただし,被害者が大学生の場合には,稼働可能期間は22歳となるでしょう。

稼働可能期間の終期

稼働可能期間は,前記のとおり,あくまで推測ですから,特に問題となるのは,やはり稼働可能期間の終期をどの時点までとするのかということになるでしょう。

現実問題として,稼働可能期間の始期はある程度合理性がある時期を設定できますが,終期は人によってまちまちです。

たとえ交通事故に遭わなかったとしても,病気や怪我にあって稼働できなくなることもあるのですから,一定の基準を合理的に設定するというのは,かなり難しい問題です。

実務においては,厚生労働省の生命表における男子0歳の平均余命年数をもとに,原則として,67歳を終期とすることとされています。

もっとも,上記67歳を始期とすると,高齢者の場合には,稼働可能期間が著しく短くなり過ぎるということもあります。

そのため,高齢者の場合には,67歳までの年数と平均余命の2分の1のどちらか長い方を稼働可能期間とするものとされています。

中間利息の控除

死亡逸失利益は,本当であれば,各月や各年など一定期間ごとに分割してもらうはずの収入です。

しかし,損害賠償は一括払いが原則です。つまり,死亡逸失利益は,本来であれば稼働可能期間において分割で得られるはずの利益を一括して受け取ることができるということになります。

仮に,単純に稼働可能期間において受け取ることができたはずの利益をすべて逸失利益とすると,あまりに金額が大きくなり過ぎてしまうことになります。

そこで,稼働可能期間における逸失利益を,現在の一時金として評価し直す必要があります。そのための技術が中間利息の控除というものです。

具体的には,稼働可能期間に応じて定められている中間利息控除率を乗じるという方法によって,計算することになります。

稼働可能期間に応じた中間利息控除率には,ライプニッツ係数とホフマン係数というものがあります。どちらを採用すべきかについては明文はありませんが,現在では,ライプニッツ係数を利用するのが一般的になりつつあります。

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