傷害慰謝料

傷害事故における入通院慰謝料の算定表(赤い本・弁護士基準)

傷害事故の場合,被害者の方は加害者に対して傷害(入通院)慰謝料を請求できます。裁判で請求する場合,この入通院慰謝料は,「赤い本」掲載の算定表を基準として金額が決められるのが通常です。ここでは,赤い本掲載の傷害事故における入通院慰謝料の算定表についてご説明いたします。

傷害慰謝料の裁判・弁護士基準

交通事故によって傷害を負った場合,被害者の方は加害者に対して,精神的苦痛を被ったことを理由として慰謝料を請求することができます。

傷害事故における慰謝料の金額も,他の損害の場合と同様に,自賠責保険任意保険会社との交渉段階・裁判によって算定基準が異なります。最も金額が大きいのは,やはり裁判基準(弁護士基準)です。

傷害慰謝料の裁判(弁護士)基準とは,日弁連交通事故相談センター東京支部による「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」。)掲載の「入通院慰謝料の算定表」の基準のことです。

これは,日弁連交通事故相談センター東京支部が作成したものですが,実際の裁判において裁判官も非常に重視しており,事実上,裁判における傷害慰謝料の基準となっているといってよいほどの影響力をもっています。そのため,裁判基準とか弁護士基準などと呼ばれているのです。

傷害慰謝料は,入通院慰謝料とも呼ばれるとおり,入院日数および通院日数に応じて損害賠償金額が定められることになっています。

この赤い本には,以下で紹介するように,入通院慰謝料の算定表として「別表Ⅰ」と「別表Ⅱ」が掲載されています。

通常は,赤い本の「別表Ⅰ」を使用して慰謝料金額を算定することになります。ただし,傷害がむち打ち症で他覚症状が無い場合には,赤い本の「別表Ⅱ」を使用して慰謝料金額を算定するものとされています。

>> 傷害事故(後遺障害なし)における慰謝料

通常の場合の算定表(赤い本別表Ⅰ)

前記のとおり,通常は,赤い本「別表Ⅰ」を使用して入通院慰謝料を算定することになります。

赤い本「入通院慰謝料」別表Ⅰ

赤い本「入通院慰謝料」別表Ⅰ

算定表の見方

この算定表は,横軸が入院期間,縦軸が通院期間となっています。

入院のみで通院が無いという場合には,上記算定表の上から2段目を使用します。たとえば,通院はなしで入院5か月のみであったという場合には,217万円ということになります。

逆に入院は無く通院のみという場合には,上記算定表の左から2列目を使用します。たとえば,入院なしで10か月通院したという場合には,145万円ということになります。

入院後も通院したという場合には,縦軸と横軸が交差する部分の金額となります。たとえば,2か月入院した後に8か月通院したという場合には,194万円ということになります。

なお,この表を超える治療が必要となる場合は,入通院期間1か月につき,それぞれ15か月の基準額から14か月の基準額を差し引いた金額を加算した金額が基準額となります。たとえば,16か月入院したという場合には,【15月入院慰謝料340万円+(15月入院慰謝料-14月入院慰謝料334万)=346万円ということになります。

算定表の修正

上記算定表は,傷害慰謝料の算定において非常に重視されますが,もちろん絶対ではありません。あくまで基準となるということにすぎませんので,算定表を基準としつつも一定の増減がなされることはあり得ます。

たとえば,赤い本によれば,以下のような修正がなされることがあるとされています。

  • 通院が長期にわたり,かつ不規則である場合には,実通院日数(実際に通院した日数)の3.5倍程度を通院期間の目安とするということがある。
  • 被害者が幼児をもつ母親であったり,仕事等の都合など被害者側の事情で特に入院期間を短縮したと認められる場合には,金額を増加することがある。
  • 入院待機中の期間およびギブス固定中等安静を要する自宅療養期間は,入院期間とみることがある。
  • 傷害の部位・程度によっては,金額を20から30パーセント程度増額する
  • 生死が危ぶまれる状態が継続した場合,麻酔なしでの手術など極度の苦痛を被った場合,手術を繰り返した場合などは,入通院期間の長短にかかわらず,別途増額を考慮する。

むち打ち症で他覚症状が無い場合の算定表(赤い本別表Ⅱ)

前記のとおり,通常は,赤い本「別表Ⅰ」を使用して入通院慰謝料を算定することになります。もっとも,むち打ち症で他覚症状が無い場合には,通院期間が長期化してしまうということもあり得ることなどから,通常とは異なり,「別表Ⅱ」によって慰謝料金額を算定することになっています。

赤い本「入通院慰謝料」別表Ⅱ

赤い本「入通院慰謝料」別表Ⅱ

別表Ⅱも算定表の見方は別表Ⅰの場合と同様です。

なお,赤い本によれば,通院期間については,算定表の期間を限度として,実治療日数の3倍程度を目安とするものとされています。

(著者:弁護士 志賀 貴

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